二級ボイラー技士/燃料及び燃焼に関する知識
燃焼の方式と燃焼装置
空気比と一次・二次空気、燃焼室熱負荷、油バーナの種類、燃料油の供給装置、ガスと石炭の燃焼方式を、計算の例題つきで解説します。
燃焼に必要なものは何で、空気比はどう決まる?
燃焼には、可燃物、酸素(空気)、点火源(温度)の三つがそろう必要があります。ボイラーの運転で主に調節するのは空気の量で、その目安が空気比です。
空気比は、実際に送った空気量を理論空気量で割った値です。理論空気量は、燃料を完全燃焼させるのに理論上必要な最少の空気量をいいます。実際の炉では燃料と空気が完全には混ざらないので、空気比を1より大きくして運転します。
空気比が小さすぎると不完全燃焼になり、一酸化炭素やすすが増えます。大きすぎると排ガスの量が増え、排ガスが持ち去る熱が増えて効率が落ちます。空気と混ざりやすい気体燃料は、少ない空気比で完全燃焼させられます。
例題:排ガスの酸素濃度から空気比と実際空気量を求める
重油だきボイラーの乾き排ガスの酸素濃度が3.5%、燃料の理論空気量が10.8 m³N/kg。完全燃焼しているものとして、空気比を m = 21 ÷(21 − 酸素濃度)で概算し、燃料1kg当たりの実際空気量を求める(数値はオリジナル)。
- ① 分母を求める 21 − 3.5 = 17.5
- ② 空気比 m = 21 ÷ 17.5 = 1.20
- ③ 実際空気量 10.8 × 1.20 = 12.96 m³N/kg 理論空気量 × 空気比
答え:空気比1.20、実際空気量 約13.0 m³N/kg
よくある間違い:21 ÷ 3.5 = 6.0 としないこと。分母は21から酸素濃度を引いた値です。この式は完全燃焼を前提にした概算で、一酸化炭素が出ているときには使えません。二級の公表試験問題では、この計算より、空気比の定義と A = m × A0 の関係が問われています。
一次空気と二次空気はどう使い分ける?
油やガスの燃焼では、一次空気を噴射された燃料のまわりに送り、着火と初期の燃焼を安定させます。燃焼に必要な空気の大部分は二次空気で、旋回させたり交差させたりして燃料とよく混ぜ、燃焼を完結させます。
石炭の火格子燃焼では、一次空気を火格子の下から燃料層に送り、二次空気を燃焼室の中の燃焼ガスに送ります。微粉炭燃焼では、一次空気が微粉炭をバーナまで運ぶ役目も持ちます。
バーナの先の炉壁に設ける耐火物をバーナタイルといい、炉内の熱で着火を助けます。空気の流れを整えて火炎を安定させる部品は保炎器(スタビライザ)です。
燃焼室熱負荷とは何を表す?
燃焼室熱負荷は、燃焼室の単位容積当たり、単位時間当たりに発生する熱量で、単位はkW/m³です。値が大きいほど、狭い燃焼室で多くの燃料を燃やしていることになります。
燃焼室には、燃料と空気がよく混ざること、燃焼が終わるまでに必要な大きさと形があること、炉壁が高温に耐えて空気の漏れ込みや放熱が少ないことが求められます。着火を確実にするため、バーナ付近の温度を高く保てることも条件です。燃焼が終わる前に燃焼ガスが伝熱面で冷やされると、不完全燃焼になります。
例題:燃焼室熱負荷を求める
燃料消費量72 kg/h、燃料の発熱量42 MJ/kg、燃焼室の容積3.0 m³(数値はオリジナル)。
- ① 1時間の発生熱量 72 × 42 = 3,024 MJ/h
- ② kWに直す 3,024 × 1,000 ÷ 3,600 = 840 kW 1 kW = 1 kJ/s = 3.6 MJ/h
- ③ 容積で割る 840 ÷ 3.0 = 280 kW/m³
答え:280 kW/m³
よくある間違い:MJ/hのまま容積で割ると1,008という値になり、単位がkW/m³になりません。MJ/hは1,000倍して3,600で割るとkWになります。
油バーナにはどんな種類がある?
重油は霧化して細かい粒にし、表面積を増やしてから燃やします。霧化の方法でバーナの種類が分かれ、燃焼量を絞れる幅(ターンダウン比)も変わります。
圧力噴霧式バーナは、油に圧力をかけてノズルチップから噴き出させ、霧化します。構造は簡単ですが、油圧を下げると霧化が悪くなるので、燃焼量の調節範囲は狭くなります。戻り油式は、戻す油の量を変えてこの範囲を広げたものです。
回転式(ロータリ)バーナは、高速で回るカップの内面で油を薄い膜にし、遠心力で微粒化します。蒸気噴霧式(高圧気流式)バーナは、比較的高圧の蒸気や空気を霧化媒体として微粒化するもので、燃焼量の調節範囲が広いバーナです。
ガンタイプバーナは、ファンと圧力噴霧式バーナを組み合わせたもので、小容量のボイラーに多く使われます。霧化媒体の蒸気や空気が要るのは蒸気噴霧式と空気噴霧式で、圧力噴霧式・回転式・ガンタイプには要りません。
燃料油はどんな経路でバーナまで送られる?
系統の一例は、貯蔵タンク → ストレーナ → 移送ポンプ → サービスタンク → ストレーナ → 噴燃ポンプ → 油加熱器 → バーナの順です。貯蔵タンクは大量の油を長くためておくもの、サービスタンクはボイラーの近くに置いてバーナへ送る油を一時的にためるものです。
ストレーナは油の中の異物を取り除くろ過器で、ポンプの前などに置きます。移送ポンプは貯蔵タンクからサービスタンクへ油を送り、噴燃ポンプはバーナに必要な圧力で油を送ります。タンクの底には水やスラッジがたまるので、油の取出し口は底から少し上げ、ドレン抜き弁から定期的に排出します。
B重油やC重油は、油加熱器でバーナに合った粘度まで温めます。A重油より粘度の低い油では、油加熱器を使わないことも多くあります。加熱温度が低すぎると霧化が悪くなり、すすが出たり火炎が偏ったりします。高すぎると管の中で油が気化するベーパロックが起きて燃焼が途切れたり、炭化物ができたりします。
ガスと石炭はどんな方式で燃やす?
気体燃料の燃焼方式は、拡散燃焼と予混合燃焼に分かれます。拡散燃焼はガスと空気を別々に噴き出し、混ざりながら燃やす方式です。火炎は比較的長くなりますが、バーナの中に混合気ができないので逆火のおそれがなく、火炎の広がりや長さも調節しやすい方式です。
予混合燃焼は、ガスと空気をあらかじめ混ぜてから燃やす方式で、気体燃料に特有の燃焼方式です。火炎は短く安定しやすいのですが、混合気がバーナの中まで燃え戻る逆火に注意がいります。
石炭では、火格子の上で燃やす火格子燃焼、粉にして空気と吹き込む微粉炭燃焼、砂などの層に下から空気を送って燃料を流動させる流動層燃焼があります。流動層燃焼は比較的低い温度で燃やすので窒素酸化物が少なく、層に石灰石を入れると炉内で硫黄酸化物を減らせます。
職場ではどう使う?
小型の貫流ボイラーを何台も並べた工場では、ファンとバーナが一体になったバーナが多く、燃焼は高燃焼・低燃焼・停止の段階で切り替わります。点火のたびにプレパージの時間と着火までの様子を見ておくと、ノズルの汚れや空気の入り方の変化に早く気づけます。
C重油をたく炉筒煙管ボイラーの現場なら、サービスタンクの油温と油加熱器の出口温度を毎日記録します。火炎が赤く長くなり、煙突の出口が黒くなってきたら、まず油加熱器の温度が下がっていないかを確かめます。排ガス分析計の酸素濃度が普段より高いときは、空気が多すぎて排ガスで熱を捨てています。
試験ではどう問われる?
バーナの種類と特徴の入れ替えが多く出ます。「圧力噴霧式は調節範囲が広い」「蒸気噴霧式は調節範囲が狭い」のように、ターンダウン比の大小を逆にした選択肢が作られやすい形です。
一次空気と二次空気の役割、拡散燃焼と予混合燃焼の特徴(火炎の長さ、逆火の有無)の入れ替えもよく見られます。供給装置では、ポンプの名前と役割、油加熱器やストレーナの役割、加熱温度が高すぎる場合と低すぎる場合の障害の取り違えに注意してください。空気比は、小さすぎる場合と大きすぎる場合の影響を逆にした記述が出ます。
よくある質問
空気比はどのくらいにすればよいのですか?
燃料とバーナによって違います。空気と混ざりやすい気体燃料は、少ない空気比で燃やせます。不完全燃焼を起こさない範囲で、できるだけ小さく保つのが基本です。
一次空気と二次空気はどちらが多いですか?
油やガスの燃焼では、燃焼に必要な空気の大部分は二次空気です。一次空気は着火と火炎の安定のために燃料のまわりに送ります。
拡散燃焼で逆火が起きないのはなぜですか?
ガスと空気を別々にバーナから出し、バーナの外で混ぜながら燃やすので、バーナの中に燃える混合気ができないためです。火炎の広がりや長さも調節しやすい方式です。
読んだあとにやること
読んで分かった気になっても、手を動かすと止まります。この分野の練習問題で確かめてください。
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解説と例題は学習用に当サイトが作成したものです。例題の数値はすべてオリジナルで、過去の試験問題の本文・選択肢・数値は使用していません。 最新の法令と試験の内容は公益財団法人 安全衛生技術試験協会の公式情報で確認してください。