二級ボイラー技士/燃料及び燃焼に関する知識
通風・熱損失・大気汚染物質
自然通風と押込・誘引・平衡通風、ファンの種類、ボイラーの熱損失、NOx・SOx・ばいじんの発生と抑え方、低温腐食の防ぎ方を解説します。
通風とは何で、自然通風の強さは何で決まる?
通風は、燃焼に必要な空気を炉に送り込み、燃焼ガスを煙突から外へ出す空気とガスの流れです。流れを起こす圧力差を通風力といいます。
自然通風は、煙突の中の高温で軽いガスと、外の冷たく重い空気との密度の差で通風力を得ます。通風力は煙突が高いほど、煙突内のガス温度が高いほど大きく、外気温度が低いほど大きくなります。ファンを使わないので動力はいりませんが、通風力が弱く、通風抵抗の大きいボイラーには向きません。
公表試験問題では、自然通風力を「外気と煙突内のガスの密度の差×煙突の高さ」で求めるという記述が正しい扱いです。これをPaで表すときは、さらに重力加速度を掛けます。
例題:煙突の理論通風力を求める
煙突の高さ25 m、外気の密度1.25 kg/m³、煙突内のガスの密度0.80 kg/m³、重力加速度9.8 m/s²(数値はオリジナル)。理論通風力 Z = H ×(外気の密度 − ガスの密度)× g
- ① 密度の差 1.25 − 0.80 = 0.45 kg/m³
- ② 高さを掛ける 25 × 0.45 = 11.25
- ③ 重力加速度を掛ける 11.25 × 9.8 = 110.25 Pa
答え:約110 Pa
よくある間違い:煙突内のガスの密度だけを掛けたり、gを掛け忘れたりしないこと。実際の通風力は、煙道や煙突の摩擦などで理論値より小さくなります。
押込通風・誘引通風・平衡通風は何が違う?
人工通風はファンで通風力をつくる方式で、ファンの位置で三つに分かれます。押込通風は、ファンで燃焼用空気を炉に押し込む方式で、炉内は大気圧より高く(正圧に)なります。常温の空気を扱うのでファンの動力が小さく、燃料と空気の混合もよくしやすい方式です。燃焼ガスが外に漏れないよう、炉やケーシングを気密にする必要があります。
誘引通風は、煙道や煙突の入口にファンを置いて燃焼ガスを吸い出す方式で、炉内は大気圧より低く(負圧に)なります。高温で体積の大きい燃焼ガスを扱うので、ファンが大きくなって動力が増え、耐熱性と耐食性も求められます。
平衡通風は、押込ファンと誘引ファンを併用し、炉内圧を大気圧よりわずかに低く保つ方式です。燃焼ガスが外に漏れにくく、通風抵抗の大きいボイラーでも強い通風力が得られます。
ボイラーのファンにはどんな種類がある?
多翼形ファンは、羽根車の外周近くに、浅くて幅の広い前向きの羽根をたくさん並べたものです。小型・軽量ですが、効率は高くなく、高温・高圧・大容量には向きません。
後向き形ファンは、後ろ向きに曲がった羽根を持ち、効率が良く、高温・高圧・大容量のボイラーに向きます。ラジアル形ファンは、中心から放射状に平板の羽根を付けたもので、形が簡単で羽根を取り替えやすく、摩耗に強い方式です。
ボイラーの熱損失で最も大きいのはどれ?
一般に最も大きいのは、煙突から出ていく排ガスが持ち去る排ガス熱損失です。ほかに、一酸化炭素やすすが残る不完全燃焼による損失、固体燃料の燃え残りが灰と出る未燃分による損失、ボイラーの周りから逃げる放熱損失があります。
排ガス熱損失は、排ガスの量と温度で決まります。量を減らすには、不完全燃焼を起こさない範囲で空気比を小さくします。温度を下げるには、伝熱面のすすやスケールを取り除き、エコノマイザや空気予熱器で熱を回収します。放熱損失は、ボイラー周壁やケーシングの保温で減らします。
窒素酸化物と硫黄酸化物はどうして出て、どう減らす?
燃焼で出る窒素酸化物(NOx)は大部分が一酸化窒素で、二酸化窒素はわずかです。空気中の窒素が高温で酸素と結びつくものをサーマルNOx、燃料中の窒素化合物から出るものをフューエルNOxといいます。サーマルNOxは、燃焼温度が高いほど、高温の部分にガスがとどまる時間が長いほど、酸素が多いほど増えます。
減らす方法は、燃焼温度を下げ、高温部の酸素を減らす方向にそろっています。空気を二段に分けて送る二段燃焼、排ガスの一部を燃焼用空気に戻す排ガス再循環、燃料の多い火炎と空気の多い火炎をつくる濃淡燃焼、低い空気比での燃焼、窒素化合物の少ない燃料への切替えがあります。
硫黄酸化物(SOx)は燃料中の硫黄から生じ、大部分が二酸化硫黄です。燃焼の工夫ではほとんど減らせないので、硫黄分の少ない燃料に替えるか、排煙脱硫装置で取り除きます。ばいじんは、すすと、燃料中の灰分からくるダストを合わせたものです。
低温腐食はどこで起こり、どう防ぐ?
燃料中の硫黄は燃えて二酸化硫黄になり、その一部は酸化が進んで三酸化硫黄になります。三酸化硫黄は排ガス中の水分と結びつき、温度が露点より下がった伝熱面で硫酸となって付き、金属を腐食させます。これが低温腐食で、エコノマイザや空気予熱器など、排ガスの温度が低い部分で起こります。
防ぐには、硫黄分の少ない燃料を使う、低い空気比で燃やして三酸化硫黄をできにくくする、伝熱面の温度を露点より高く保つ、といった方法をとります。エコノマイザでは、入る給水の温度を上げると伝熱面の温度が上がり、腐食を抑えられます。
高温腐食は、重油の灰分に含まれるバナジウムの化合物が、過熱器など温度の高い伝熱面に付いて起こるものです。低温腐食とは原因も場所も違います。
職場ではどう使う?
誘引ファンを持つボイラーでは、炉内圧を示す通風計が少し負圧を指しているのが普段の姿です。ダンパの開度が変わったり、煙道にすすがたまったりすると指示が変わるので、運転日誌に炉内圧の欄を設けている現場は少なくありません。
自治体との公害防止協定などでNOxの排出濃度に上限がある工場では、空気比や排ガス再循環の設定を触る前に、ばい煙の測定記録を確認します。ボイラー則が作業主任者の職務に「排出されるばい煙の測定濃度」の記録を挙げているのは、この管理とつながっています。
試験ではどう問われる?
通風では、押込通風と誘引通風の特徴を入れ替えた選択肢が中心です。炉内が正圧か負圧か、扱うのが常温の空気か高温のガスか、ファンの動力の大小が入れ替えの対象になります。自然通風では、通風力が大きくなる条件(煙突が高い、ガス温度が高い)を逆にした記述が出ます。
環境では、NOxの大部分が一酸化窒素であることや、サーマルとフューエルの定義の入れ替え、抑制方法の中に「燃焼温度を上げる」「空気比を大きくする」を混ぜた選択肢に注意してください。低温腐食では、給水温度を上げるのか下げるのかが問われやすいところです。
よくある質問
押込通風と誘引通風はどちらがファンの動力が小さいですか?
押込通風です。常温で体積の小さい空気を扱うためです。誘引通風は高温で体積の大きい燃焼ガスを扱うので、ファンが大きくなります。
サーマルNOxとフューエルNOxの違いは何ですか?
サーマルNOxは燃焼用空気中の窒素が高温で酸化したもの、フューエルNOxは燃料に含まれる窒素化合物が酸化したものです。
低温腐食を防ぐには給水温度を上げますか、下げますか?
上げます。エコノマイザの伝熱面の温度を硫酸の露点より高く保つためです。
読んだあとにやること
読んで分かった気になっても、手を動かすと止まります。この分野の練習問題で確かめてください。
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解説と例題は学習用に当サイトが作成したものです。例題の数値はすべてオリジナルで、過去の試験問題の本文・選択肢・数値は使用していません。 最新の法令と試験の内容は公益財団法人 安全衛生技術試験協会の公式情報で確認してください。