二級ボイラー技士/ボイラーの構造に関する知識
ボイラーの種類と主要部分の構造
丸ボイラー、水管ボイラー、貫流ボイラー、鋳鉄製ボイラーの違いと、胴・鏡板・ステー・マンホールなど主要部分の構造を、比較の軸をそろえて整理しました。
丸ボイラーと水管ボイラーは何が違う?
丸ボイラーは大きな胴の中に炉筒や煙管を収めたボイラーで、水管ボイラーは細い水管とドラムで組み立てたボイラーです。両者の違いのほとんどは、伝熱面積に対する保有水量の多い少ないで説明できます。
丸ボイラーは保有水量が多いので、負荷が変わっても圧力が変動しにくい半面、たき始めてから蒸気が出るまで時間がかかります。高圧・大容量の用途には水管ボイラーが使われます。
水管ボイラーは保有水量が少なく、起動が早い代わりに負荷変動で圧力と水位が動きやすいので、自動制御が前提になります。伝熱面積を大きくとれ、燃焼室も自由な形にできるため、高圧・大容量に向き、効率も高くできます。管が細いぶんスケールの影響を受けやすく、水処理は厳しくなります。
| 保有水量 | 丸=多い/水管=少ない/貫流=ごく少ない |
|---|---|
| 起動時間 | 丸=長い/水管・貫流=短い |
| 負荷変動による圧力変動 | 丸=小さい/水管・貫流=大きい |
| 高圧・大容量 | 丸=不向き/水管・貫流=向く |
炉筒煙管ボイラーはどんな構造?
炉筒煙管ボイラーは、胴の中に燃焼室となる炉筒と多数の煙管を設けた内だき式の丸ボイラーです。燃焼ガスは炉筒から後部へ出て、煙管を通って前部へ戻り、煙突に向かいます。バーナ、送風機、自動制御装置、附属品を一体にしたパッケージ形が多く、据付工事が簡単です。
炉筒には、外圧に強く、熱による伸縮を吸収できる波形炉筒が多く使われます。平形炉筒では、外周に補強リングを付けて圧壊を防ぎます。燃焼ガスを炉筒の後部で反転させて前へ戻す戻り燃焼方式、送風機で炉内を大気圧より高くする加圧燃焼方式、煙管にスパイラル管を使って伝熱を良くしたものもあります。
立てボイラーは胴を直立させた小型の丸ボイラーです。
貫流ボイラーは何が特別?
貫流ボイラーはドラムを持たず、長い管だけでできています。給水ポンプで管の一端から押し込んだ水が、管の中で予熱、蒸発、場合によっては過熱されて、他端から蒸気として出ていきます。
管が細いので高圧に向き、保有水量がごく少ないので起動時間が短いのが長所です。負荷が変わると圧力がすぐ動くため、応答の速い給水制御と燃焼制御が要ります。ボイラー水が管の中で濃縮されやすく、給水の処理が不十分だと管がスケールで過熱します。
工場やビルでよく見る小型の貫流ボイラーは、上下の管寄せの間に多数の管を並べた多管式で、出てきた蒸気と水を気水分離器で分けています。
鋳鉄製ボイラーはどこに注意する?
鋳鉄製ボイラーは、前部・中間・後部のセクションを組み合わせた組合せ式のボイラーです(構造規格第90条)。セクションの数を変えると能力を増減でき、分割して搬入できるので、ビルの地下機械室などに向いています。底部まで水で囲んだ構造はウェットボトム式と呼ばれ、底部に耐火材を必要としません。
鋳鉄製ボイラーは鋼製に比べ、熱による不同膨張で割れが生じやすいボイラーです。ボイラー構造規格第88条により、圧力0.1MPaを超えて使う蒸気ボイラー、0.5MPa(破壊試験で算定する場合は1MPa)を超える温水ボイラー、温水温度が120℃を超える温水ボイラーは鋳鉄製にできません。
暖房用の蒸気ボイラーでは、放熱器で凝縮した復水を返り管でボイラーに戻して使います。返り管の取付けにはハートフォード式連結法が用いられ、その主な目的は低水位事故の防止です。ポンプで復水を戻す方式では、返り管を安全低水面以下150mm以内の高さに取り付けます。水道など圧力のある水源からの給水管は返り管に取り付け、ボイラーに直接つなぎません(構造規格第100条)。
胴と鏡板にはどのくらいの強さが要る?
内圧を受ける円筒の胴には、周方向に軸方向の2倍の応力が生じます。周方向の応力は長手継手に掛かるため、長手継手は周継手の2倍の強さが必要です。
胴の両端をふさぐ板が鏡板で、煙管を取り付けるものは管板と呼びます。同じ厚さなら全半球形、半だ円体形、皿形、平鏡板の順に強く、平らな板ほど圧力でたわみやすくなります。
胴にだ円形のマンホールをあけるときは、短径を胴の軸方向に向けます。軸方向に長い穴は、大きな周方向の応力を受け持つ断面を削ってしまうからです。穴の周りは必要に応じて補強し、燃焼室には原則として内部に入れる大きさのマンホールを設けます(構造規格第82条)。
ステーは何のために付ける?
平鏡板や管板のような平らな部分は、圧力で外へふくらもうとします。これをステーで支えて補強します。棒ステーには両側の鏡板を結ぶ長手ステーと、鏡板と胴板を斜めに結ぶ斜めステーがあります。管ステーは煙管より肉厚の鋼管を管板に溶接かねじ込みで取り付けたもので、煙管の役目も兼ねます。ガセットステーは平板で鏡板を胴に結び付けて支えます。
炉筒は燃焼の熱で伸び縮みし、鏡板がわずかにたわんでこれを吸収します。そのためガセットステーは、炉筒との間の鏡板にブリージングスペースと呼ぶ間隔を残して取り付けます。ここをステーでふさぐと、鏡板のたわみの逃げ場がなくなり、炉筒の取付部に無理な力が掛かります。
職場ではどう使う?
ビルの暖房には鋳鉄製の温水ボイラー、工場の蒸気には小型貫流ボイラーを何台も並べて運転台数を増減する方式がよく見られます。貫流ボイラーはたき始めから短時間で蒸気が出るので、朝の立ち上げや負荷の増減に台数で合わせられます。
炉筒煙管ボイラーで蒸気の使用量が急に増えても圧力の落ち方が小さいのは、保有水量の多さのおかげです。貫流ボイラーで同じ使い方をすると圧力がすぐ下がるので、蒸気の使い方を急に変えない運転が求められます。貫流ボイラーの伝熱面積は、作業主任者の選任区分を決めるときに10分の1で数えます(ボイラー則第24条第2項)。
試験ではどう問われる?
比較問題では、丸ボイラーと水管ボイラーの特徴を入れ替えた選択肢が定番です。保有水量、起動時間、圧力変動、水処理の4つの軸で、どちらの特徴かを言えるようにしておくと崩れにくくなります。
鋳鉄製ボイラーでは「不同膨張に強い」「高圧に使える」といった性質の逆転、ハートフォード式連結法では目的のすり替えがよく作られます。ステーではブリージングスペースの位置、鏡板では強さの順番、マンホールでは長径と短径の向きの入れ替えに注意します。
よくある質問
丸ボイラーと水管ボイラーの違いを一言でいうと?
伝熱面積に対する保有水量の差です。保有水量が多い丸ボイラーは圧力が安定し起動が遅く、少ない水管ボイラーは起動が早く圧力が変動しやすくなります。
ハートフォード式連結法は何のため?
暖房用鋳鉄製蒸気ボイラーの低水位事故を防ぐためです。返り管の取付けに用いる方法で、試験でも主な目的として低水位事故の防止が問われます。
ブリージングスペースとは?
炉筒煙管ボイラーの鏡板で、炉筒とガセットステーの間に残す間隔です。炉筒の伸び縮みを鏡板のたわみで吸収できるように残しておく部分です。
読んだあとにやること
読んで分かった気になっても、手を動かすと止まります。この分野の練習問題で確かめてください。
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解説と例題は学習用に当サイトが作成したものです。例題の数値はすべてオリジナルで、過去の試験問題の本文・選択肢・数値は使用していません。 最新の法令と試験の内容は公益財団法人 安全衛生技術試験協会の公式情報で確認してください。