二級ボイラー技士/ボイラーの構造に関する知識

附属品と附属設備の構造

安全弁・逃がし管・圧力計・水面計から、給水・送気・吹出しの装置、エコノマイザと空気予熱器まで、ボイラーに付く機器の構造と取付位置を条文の数字つきで整理しました。

安全弁はどんな仕組みで圧力を逃がす?

安全弁は、ボイラーの圧力が設定圧力に達すると自動的に開いて蒸気を逃がし、圧力を最高使用圧力以下に保つ弁です。広く使われるのはばね安全弁で、ばねの力で弁体を弁座に押し付け、その締付けの強さで吹出し圧力を調整します。

リフト(弁の上がる量)で吹出し面積が決まるものを揚程式、リフトを大きくして吹出し面積がのど部の面積で決まるものを全量式といいます。ボイラー構造規格第62条は、蒸気ボイラーに安全弁を2個以上(伝熱面積50㎡以下なら1個)備え、本体の検査しやすい位置に直接、弁軸を鉛直にして取り付けるよう定めています。過熱器には出口付近に安全弁を付けます(第63条)。

弁棒弁体弁座入口(ボイラー本体側)揚げ弁装置(レバー)調整ボルトばね吹出し口ばねの締付けの強さで吹出し圧力を調整する揚程式Dl(リフト)リフトで吹出し面積が決まる(弁座流路面積 πDl)全量式のど部リフトを大きくとり、吹出し量はのど部の面積で決まる
ばね安全弁の縦断面(略図)と、吹出し面積の決まり方が違う揚程式・全量式

温水ボイラーでは何が圧力を逃がす?

水の温度が120℃以下の温水ボイラーには逃がし弁を備えます。容易に検査できる位置に逃がし管を付けたものは、逃がし弁を省けます。120℃を超えるものには安全弁を備えます(構造規格第65条)。

逃がし管は、加熱で膨張した水を高い位置の膨張タンクへ逃がす管です。途中に弁やコックを付けると、閉めたときに逃げ場がなくなるので設けません。管の中が凍ると役目を果たせないため、保温などで凍結を防ぎます(ボイラー則第28条)。

圧力計はどう付ける?

ボイラーで一般的なのはブルドン管圧力計です。断面が扁平な管を円弧状に曲げたもので、圧力が加わると円弧が広がり、その動きを歯付き扇形片と小歯車で指針に伝えます。

高温の蒸気がブルドン管に入ると誤差や故障の原因になるので、水を入れたサイホン管を介して取り付けます。ボイラー則第28条は、圧力計の内部が凍結したり80℃以上になったりしない措置と、目盛りの最高使用圧力の位置に見やすい表示をすることを求めています。

構造規格第66条は、最大指示値が最高使用圧力の1.5倍以上3倍以下の圧力計に限っています。令和8年4月1日適用の改正で、条文は「指示値を確実に確認できる圧力計」となり、停電の場合にも有効に機能するものであることが加わりました。改正の通達は、目盛盤のない圧力計なら機械式と同等に見やすい表示ができるもの、停電時には内蔵バッテリーで一定時間動くものがこれに含まれると説明しています。

最高使用圧力の表示指針ブルドン管(扁平な管)小歯車歯付き扇形片リンク圧力が加わると円弧が広がり、先端の動きが指針に伝わるサイホン管(中に水を入れる)コックハンドルが管軸と同じ向きで開ボイラー(蒸気部)から最大指示値は最高使用圧力の1.5倍以上3倍以下(構造規格第66条)サイホン管の水で、高温の蒸気がブルドン管に直接入らないようにする
ブルドン管圧力計の内部(文字盤を外した略図)とサイホン管・コック

水面計は何を見るための計器?

水面計は、ボイラー内の水位を外から確かめる計器です。ガラス水面計は、ガラス管の最下部が安全低水面を指示する位置に取り付けます(構造規格第69条)。ガラス管の一番下に水が見えなければ、水位はすでに安全低水面を割っている、と読むための配置です。

丸形ガラス水面計のほか、水部が黒く蒸気部が白く光って見える平形反射式、光の屈折率の差で蒸気部が赤、水部が緑に見える二色水面計があります。水柱管とボイラーを結ぶ連絡管は、水側に中高・中低を作らず、蒸気側にはドレンのたまる部分を作りません(第71条)。

常用水位安全低水面水柱管蒸気側連絡管水側連絡管蒸気コック(開)常用水位の表示ガラス水面計水コック(開)ドレンコック(閉)運転中の状態ガラス管の最下部が安全低水面を指示する位置に取り付ける(構造規格第69条)蒸気側連絡管:ドレンのたまる部分がない構造 / 水側連絡管:途中に中高・中低がない構造(第71条)
ガラス水面計と水柱管の取付位置(略図)。緑は開、赤は閉

給水と送気の装置はどう並ぶ?

給水ポンプには、案内羽根を持つディフューザポンプ(高圧のボイラーには多段のもの)と、案内羽根のない渦巻ポンプ(低圧のボイラー用)があります。給水管にはボイラーに近い位置に給水弁と逆止め弁を付け(構造規格第75条)、給水弁をボイラー側に置きます。逆止め弁が壊れても、給水弁を閉めればボイラーの圧力を保ったまま修理できるからです。

ボイラー内では、給水内管を安全低水面のやや下に置いて給水を分散させます。送り出す側には、蒸気中の水滴を分ける気水分離器や沸水防止管、蒸気の流れを止める主蒸気弁、使用先の圧力まで下げる減圧弁、ドレンだけを排出する蒸気トラップが並びます。蒸気トラップは、密度差で動くバケット式とフロート式、温度差で動くバイメタル式とベローズ式、熱力学的な性質の差で動くディスク式に分けられます。

給水系統送気系統給水タンク給水ポンプ(ディフューザポンプ)逆止め弁給水弁(ボイラー側)安全低水面給水内管沸水防止管主蒸気弁蒸気ヘッダ減圧弁使用設備T蒸気トラップドレン給水管にはボイラーに近い位置に給水弁と逆止め弁を付け、給水弁をボイラー側に置く逆止め弁が壊れても、給水弁を閉めればボイラーの圧力を保ったまま修理できる
給水の流れ(左)と蒸気の流れ(上)。弁の並びは構造規格第75条と本文による

吹出し装置とエコノマイザは何のため?

吹出し装置は、ボイラー底部にたまったスラッジや、濃縮したボイラー水を外へ出す装置です。底部から間を置いて行う間欠吹出しと、水面付近から少しずつ出す連続吹出しがあります。吹出し弁にはスラッジがたまりにくい仕切弁やY形弁を使い、大形や高圧のボイラーでは2個を直列にして、ボイラーに近い側に急開弁、遠い側に漸開弁を置きます。

エコノマイザは排ガスの熱で給水を、空気予熱器は燃焼用空気を温める附属設備です。どちらも効率を上げますが、通風抵抗が増え、排ガス温度を下げすぎると燃料の硫黄分からできる硫酸で低温腐食が起きます。空気予熱器を使うと燃焼温度が上がり、窒素酸化物は増える傾向にあります。過熱器は飽和蒸気を過熱蒸気にする装置です。

水面連続吹出し管連続吹出し(水面付近から少しずつ)ボイラーボイラー底部急開弁漸開弁(ボイラー側)吹出し管間欠吹出し(底部から)閉じる順12閉じるときは、ボイラーから遠い漸開弁を先に閉じ、次に急開弁を閉じる吹出し中は水面計から目を離さない。1人で同時に2基以上の吹出しをしない(ボイラー則第31条)
底部からの間欠吹出しと、水面付近からの連続吹出し。弁2個を直列にしたときの並びと閉じる順

職場ではどう使う?

最高使用圧力0.98MPaの炉筒煙管ボイラーなら、圧力計は最大指示値が1.47MPa以上2.94MPa以下のもの、たとえば2.5MPa目盛りのものを選び、0.98MPaの位置に見やすい表示を付けます。朝の巡回では、2本の水面計の水位がそろっているか、圧力計の針がその表示を超えていないかを見比べます。

蒸気トラップの点検では、出口から蒸気が吹き続けていないかを確かめます。蒸気が漏れていれば燃料が無駄になり、逆に詰まっていればドレンが配管にたまってウォータハンマの原因になります。

試験ではどう問われる?

附属品の問題は、位置関係と数字の入れ替えで誤りが作られます。給水弁と逆止め弁のどちらをボイラー側に置くか、急開弁と漸開弁の並び、ガラス水面計の最下部が指す位置、圧力計の最大指示値の1.5倍と3倍などが代表的です。

蒸気トラップでは作動原理の組合せ(バケット式を温度差とする誤りなど)、エコノマイザや空気予熱器では「窒素酸化物が減る」のような効果の言い過ぎがねらわれます。協会の公表問題は令和8年1月1日以降に施行された法令に対応していないと明記されているので、圧力計の電子式や停電時の条件は、公表問題の解説ではなく改正後の条文で覚えます。

よくある質問

逃がし管に弁を付けてはいけないのはなぜ?

弁を閉めたままにすると、加熱で膨張した水の逃げ場がなくなり、ボイラーの圧力が異常に上がるためです。逃がし管は常に開いている必要があります。

圧力計にサイホン管を付けるのはなぜ?

サイホン管の中にたまった水で、高温の蒸気がブルドン管に直接入るのを防ぐためです。ボイラー則第28条は、圧力計の内部が80℃以上にならない措置を求めています。

電子式の圧力計はボイラーに使える?

令和8年4月1日適用の構造規格第66条は、指示値を確実に確認できる圧力計で、停電の場合にも有効に機能するものを求めています。改正の通達は、目盛盤のないものは機械式と同等に見やすい表示ができること、停電時は内蔵バッテリーで一定時間動くものが含まれることを示しています。

読んだあとにやること

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解説と例題は学習用に当サイトが作成したものです。例題の数値はすべてオリジナルで、過去の試験問題の本文・選択肢・数値は使用していません。 最新の法令と試験の内容は公益財団法人 安全衛生技術試験協会の公式情報で確認してください。