二級ボイラー技士/ボイラーの取扱いに関する知識

ボイラーの異常時の対応

水位の異常低下、キャリオーバ、燃料の遮断、ウォータハンマ、圧力の異常上昇など、運転中に起こる異常の原因と、そのときに取る措置の順序をまとめました。

水位が異常に下がるのはなぜ?

水位の異常低下は、給水が足りない、水が失われる、水位を見誤る、の3つのどれかで起こります。給水ポンプの故障、給水弁の開き忘れ、給水内管の穴の詰まり、逆止め弁の故障は給水不足に当たります。吹出し弁の閉め方が不完全で水が漏れているのは、水が失われる例です。

見誤りは、水面計の連絡管の詰まりやコックの閉め忘れで起こります。運転中の水位は常にわずかに上下しているので、水位がじっと動かないときは水面計を疑います。自動給水装置の故障も水位を下げる原因になり、低水位燃料遮断装置が故障していると、下がったことに気づくのが遅れます。

ボイラー則第25条は、作業主任者に1日1回以上の水面測定装置の機能点検を求めています。水位の異常低下を防ぐいちばん身近な手段がこの点検です。

安全低水面を割ったらどうする?

水位が安全低水面以下になったときは、まず燃料の供給を止めて燃焼を停止し、炉内を換気して、主蒸気弁を閉じます。伝熱面は水で冷やされなくなって過熱しているので、急に水を入れると急冷で割れや変形を起こすおそれがあります。

燃料を止めるより先に給水することはありません。鋳鉄製ボイラーでは、どんな場合も給水しません。そのあとボイラーが自然に冷えるのを待ち、伝熱面の膨出や継手の漏れがないかを調べ、原因を取り除いてから運転を再開します。

キャリオーバはなぜ起こる?

キャリオーバは、ボイラー水が水滴や泡のまま蒸気と一緒に送り出される現象です。急な蒸発で水滴が飛ぶものをプライミング(水気立ち)、溶解物や油脂で泡が立ち、泡が運ばれるものをホーミング(泡立ち)といいます。

原因は、蒸気負荷が大きすぎる、主蒸気弁を急に開く、水位が高すぎる、ボイラー水が濃縮して溶解性蒸発残留物が増える、油脂分や有機物が混じる、などです。キャリオーバが起きると蒸気の純度が下がり、水面計の水位が激しく上下して正しい水位が読めなくなります。配管に入った水はウォータハンマの原因にもなります。

対処は、燃焼量を下げ、主蒸気弁を絞って蒸気の送り出しを減らすことです。水位が高ければ吹出しで下げ、ボイラー水の一部を吹き出して入れ替え、水質試験で濃度を確かめます。

燃料遮断弁が閉じて燃焼が止まる原因は?

自動制御のボイラーで燃焼が突然止まるのは、多くの場合、安全装置が異常を検出して燃料遮断弁を閉じたためです。火炎検出器の受光面の汚れで火炎を見失った、燃料油の温度が低すぎて霧化が悪く火炎が不安定になった、燃料油に水分やスラッジが混じってストレーナが詰まった、ガスの圧力が下がった、送風機が止まった、水位が安全低水面まで下がった、圧力制限器が働いた、などが代表的な原因です。

原因を確かめずにリセットと点火を繰り返すと、炉内に未燃の燃料がたまって爆発の危険があります。表示された異常の内容を読み、該当する機器を点検してから復帰させます。

緊急停止はどの順序で行う?

緊急停止の基本の順序は、燃料の供給を止める、炉内を換気する、主蒸気弁を閉じる、給水が必要なら給水して水位を保つ、です。熱の入りを最初に断ち、可燃ガスを追い出してから蒸気の送り出しを止めます。炉内と煙道を換気するので、ダンパは閉じません。

圧力が異常に上がって下がらない場合も、最初に燃料を止めます。主蒸気弁を先に閉じると、行き場のない蒸気で圧力はさらに上がります。

緊急停止のあとは、ボイラーが自然に冷えるのを待ってから異常の原因と損傷の有無を調べ、必要な補修を終えるまで運転を再開しません。

ウォータハンマと二次燃焼はどう防ぐ?

ウォータハンマは、蒸気配管にたまったドレンが蒸気に押されて管の曲がりや弁にぶつかり、大きな衝撃音と振動を起こす現象です。送気の前にドレンを抜き、主蒸気弁を少しずつ開いて配管を暖め、ドレンのたまる所に蒸気トラップを設けて防ぎます。

二次燃焼は、燃焼室で燃え残った未燃ガスやすすが煙道などへ流れ込み、そこで燃える現象で、煙道やエコノマイザ、空気予熱器を傷めます。不完全燃焼を続けないこと、燃焼中に火炎が消えたら直ちに燃料を止めて換気してから点火し直すことが予防になります。炉内の熱で再着火させるのは爆発の原因です。

職場ではどう使う?

暖房用の炉筒煙管ボイラーで、朝の送気直後に水面計の水位が大きく波打ち、蒸気ヘッダの先で配管がたたかれるような音がしたら、キャリオーバとウォータハンマが同時に起きている可能性があります。燃焼量を下げて主蒸気弁を絞り、水位と蒸気の出方が落ち着くのを待ってから、ボイラー水の濃度を測ります。

吹出しの量を減らしていた時期にキャリオーバが増えたなら、ボイラー水の濃縮を疑います。吹出しの量と水質の記録を並べると、原因が見えやすくなります。

記録には、異常が起きた時刻、そのときの圧力と水位、取った措置を残します。ボイラー則第25条は、ボイラー取扱い中の異常の有無を記録することも作業主任者の職務としています。

試験ではどう問われる?

水位の異常低下では、原因の中に「原因でないもの」を1つ混ぜる型と、措置の中に「燃焼を続けたまま大量に給水する」「鋳鉄製でも給水する」といった誤りを混ぜる型が出ます。キャリオーバでは、プライミングとホーミングの説明の入れ替え、濃度が「低い」ときに起こるという逆転、燃焼量を「増やす」措置がねらわれます。

緊急停止は、順序を並べ替えた選択肢で問われます。燃料が最初、主蒸気弁はその後、ダンパは開けたまま、の3点で見分けられます。

よくある質問

プライミングとホーミングの違いは?

プライミングは急な蒸発などで水滴が飛び、蒸気と一緒に運ばれる現象です。ホーミングは溶解物や油脂で泡が立ち、その泡が運ばれる現象です。どちらもキャリオーバに含まれます。

水位が安全低水面を割ったらすぐ給水してよい?

まず燃料を止めて燃焼を停止するのが先です。過熱した伝熱面に急に水を入れると割れや変形のおそれがあります。鋳鉄製ボイラーでは、どんな場合も給水しません。

緊急停止でダンパを閉じないのはなぜ?

緊急停止では燃料を止めたあと炉内と煙道の換気を行うためです。ダンパを閉じると可燃ガスを追い出せず、こもったガスが爆発するおそれがあります。

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解説と例題は学習用に当サイトが作成したものです。例題の数値はすべてオリジナルで、過去の試験問題の本文・選択肢・数値は使用していません。 最新の法令と試験の内容は公益財団法人 安全衛生技術試験協会の公式情報で確認してください。