二級ボイラー技士/ボイラーの取扱いに関する知識
ボイラー運転の手順(点火から停止まで)
点火前の点検から、たき始め、圧力上昇時の点検、送気、燃焼の調節、運転の終了とボイラー水の排出まで、1日の運転の流れに沿って手順とその理由を説明します。
点火の前に何を確かめる?
点火前には、水位、圧力計、弁とコックの状態、燃焼装置と通風を順に確かめます。水面計で水位が常用水位にあるか、2個の水面計の水位がそろっているかを見て、圧力計は残圧がなければ針が0を指しているかを確かめます。
弁とコックは、吹出し弁は閉、空気抜き弁は開、水面計と圧力計のコックは開、主蒸気弁は閉が基本です。燃焼装置では、油だきなら燃料の温度と圧力、ガスだきならガスの圧力と漏れを点検します。
最後にダンパの調子を点検し、燃焼室と煙道を十分に換気します。ボイラー則第30条は、この換気を済ませてからでなければ点火してはならないと定めています。
点火はどんな順序で行う?
手動で点火する油だきボイラーでは、点火用の火をバーナの先に置いてから燃料弁を開きます。燃料を先に出すと、炉内にたまった燃料が着火の瞬間に一気に燃え、炎が外へ吹き出す逆火が起きます。バーナが上下にあるときは下のバーナから点火します。
着火しなかったときは、すぐに燃料弁を閉じ、炉内を十分に換気してからやり直します。逆火は、煙道ダンパの開度が足りず通風が弱いとき、着火が遅れたとき、空気より先に燃料を送ったとき、燃焼中のバーナの火炎で次のバーナに点火したときにも起こりやすくなります。ガスだきでは、ガスが空気と混ざると爆発しやすいので、漏れの点検はガス漏れ検出器や検出液で行い、火を近づけて確かめることはしません。
自動制御のボイラーでは、この順序をシーケンス制御が受け持ちます。点火に失敗して燃焼安全装置が働いたときに、原因を確かめずにリセットを繰り返すのは、手動点火で換気を省くのと同じ危険があります。
たき始めから圧力が上がるまでに何をする?
たき始めは燃焼量を少なくし、時間をかけて圧力を上げます。急に燃焼量を増やすと、本体の部分ごとの温度差で不同膨張が起き、継手の漏れや、鋳鉄製ボイラーでは割れの原因になります。
水は温まると膨張するので、たき始めると水位は上がります。必要なら吹出しで常用水位に戻します。空気抜き弁から空気が抜けて蒸気が十分に出るようになったら、空気抜き弁を閉じます。
圧力が上がり始めたら、圧力計の針が実際に動いているかを見ます。動かなければコックの閉め忘れやサイホン管の詰まりを疑います。水面計の機能試験もこの時期に行い、マンホールや掃除穴のふたの取付部に漏れがないかも点検します。
送気はどう始める?
送気の前に、蒸気配管のドレン弁を開いて配管内のドレンを出し、主蒸気弁を少しずつ開いて配管を暖めます。冷えた配管に蒸気を急に送ると、凝縮したドレンが蒸気に押されて管や弁にぶつかり、ウォータハンマが起きます。
送気を始めると蒸気が使われるので、圧力が下がり、水位も動きます。主蒸気弁を開ききったら、圧力計と水面計を見ながら燃焼量を合わせていきます。
燃焼中は何に注意する?
燃焼量を増やすときは空気を先に増やしてから燃料を増やし、減らすときは燃料を先に減らしてから空気を減らします。どちらも、空気が不足する瞬間を作らないための順序です。
火炎の色も目安になります。空気が不足すると火炎は暗赤色で煙が出やすく、空気が多すぎると火炎は短く輝白色になり、排ガスが持ち去る熱が増えます。ボイラー則第25条は、作業主任者の職務として圧力・水位・燃焼状態の監視や、急激な負荷の変動を与えないことなどを定めています。
燃焼中は、炉内の圧力や排ガスの温度、通風の状態も見ます。排ガスの温度がふだんより高いときは、伝熱面にすすやスケールが付いて、熱が水に伝わっていない可能性があります。
運転はどう終える?
運転を終えるときは、燃料の供給を止めたあとも送風を続けて炉内を換気し、それから送風を止めます。給水して圧力を下げたあと給水弁を閉じて給水ポンプを止め、蒸気弁を閉じてドレン弁を開きます。ダンパを閉じるのは最後です。
ボイラーは自然に冷やします。冷水を送り込んで急冷すると、不同収縮で継手が漏れたり割れたりします。ボイラー水を全部抜くときは、圧力がないことを確かめてから空気抜き弁を開いて空気を入れ、ボイラー水の温度が90℃以下になってから吹出し弁を開きます。内部に入るときは、冷却、換気、ほかのボイラーとの管の連絡の遮断がボイラー則第34条で求められています。
職場ではどう使う?
朝7時に送気を始める炉筒煙管ボイラーなら、その前に水位、圧力計、吹出し弁の閉止、燃料の温度を確かめ、換気を経て低燃焼で点火します。圧力が上がり始めたら水面計の機能試験を行い、空気抜き弁を閉め、ヘッダのドレンを抜きながら主蒸気弁を少しずつ開けていきます。
送気の直後に配管から金属をたたくような音がしたら、ドレン抜きが足りずにウォータハンマが起きている合図です。主蒸気弁を絞り、ドレンを抜き直してから開け直します。
試験ではどう問われる?
手順の問題では、順序の入れ替えで誤りが作られます。空気抜き弁を閉じる時期、燃焼量を増やすときの空気と燃料の順、点火時の火種と燃料弁の順、複数バーナの点火順が代表例です。
弁やコックの状態を問う組合せ問題も出ます。点火前は吹出し弁が閉、空気抜き弁が開、主蒸気弁が閉、という基本形を覚えておくと、どれか1つを入れ替えた選択肢に気づけます。「急冷してよい」「換気を省いてよい」など、安全のための手順を省く記述も誤りの定番です。
よくある質問
空気抜き弁はいつ閉じる?
たき始めてボイラー内の空気が抜け、空気抜き弁から蒸気が十分に出るようになってから閉じます。点火前は開けておきます。
燃焼量を増やすとき、空気と燃料のどちらを先に動かす?
増やすときは空気が先、減らすときは燃料が先です。どちらも燃料に対して空気が足りない瞬間を作らないためです。
逆火はなぜ起こる?
炉内にたまった燃料や可燃ガスが、着火の瞬間に急激に燃えるためです。煙道ダンパの開度不足による通風不足、着火の遅れ、空気より先に燃料を送ること、燃焼中のバーナの火炎で次のバーナに点火することが主な原因です。
読んだあとにやること
読んで分かった気になっても、手を動かすと止まります。この分野の練習問題で確かめてください。
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