二級ボイラー技士/ボイラーの取扱いに関する知識

ボイラー用水の処理と休止中の保存

ボイラー水中の不純物とその害、水質の指標、補給水の処理(軟化・脱気)、清缶剤、休止中の保存法、清浄作業まで、水の管理に関わる内容をまとめました。

ボイラー水の不純物は何を起こす?

水道水や井戸水には、カルシウムやマグネシウムの塩類、シリカ、溶存酸素や二酸化炭素、懸濁物、ときには油脂分が含まれています。ボイラーで水を蒸発させると、蒸気として出ていかない不純物がボイラー水の中に残り、どんどん濃縮されます。

スケールは熱伝導率が非常に小さく、付くと伝熱面の温度が上がって過熱や膨出を招き、排ガス温度が上がって効率も落ちます。細い管では管そのものを詰まらせます。スラッジは底にたまる軟らかい沈殿物で、吹出しで外へ出します。

硬度成分(カルシウム・マグネシウム)伝熱面にスケールとして付く
シリカ単純軟化法ではほとんど除けない
溶存酸素・二酸化炭素腐食の原因。酸素は点食を起こす
懸濁物水に溶けずに浮遊する物質。りん酸カルシウムなどの不溶物質やエマルジョン化した鉱物油
油脂分・溶解性蒸発残留物泡立ちやキャリオーバの原因

水質は何で測る?

pHは水の酸性・アルカリ性の度合いで、常温で7が中性、それより大きいとアルカリ性です。ボイラー水は、鋼の腐食を防ぐため清缶剤で適度なアルカリ性に保ちます。

硬度は、水中のカルシウムイオンとマグネシウムイオンの量を炭酸カルシウムの量に換算して表したものです。酸消費量は水酸化物・炭酸塩・炭酸水素塩などのアルカリ分の量を示し、pH4.8まで中和するのに要する酸の量を酸消費量(pH4.8)、pH8.3までの量を酸消費量(pH8.3)といいます。どちらも炭酸カルシウムの量に換算してmg/Lで表します(JIS B 8223)。導電率は水に溶けている塩類の量の目安で、ボイラー水が濃縮するほど高くなるので、吹出し量を決める手がかりになります。

補給水はどう処理する?

ボイラーに入る前の水の処理を外処理といいます。懸濁物は凝集沈殿やろ過で、硬度成分はイオン交換で、溶存気体は脱気で取り除きます。

小規模のボイラーで広く使われるのが単純軟化法です。ナトリウム形の強酸性陽イオン交換樹脂に原水を通し、カルシウムやマグネシウムをナトリウムと交換します。処理を続けると樹脂の交換能力が下がり、ある量を超えたところで処理水の残留硬度が急に上がります。この点を貫流点といい、その前に食塩水を通して樹脂を再生します。

単純軟化法は硬度成分をナトリウムに置き換えるだけなので、溶けている塩類の総量はほとんど変わらず、シリカもほぼ残ります。

原水カルシウムイオン・マグネシウムイオン処理水(硬度成分が除かれる)強酸性陽イオン交換樹脂(ナトリウム形)カルシウム・マグネシウムをナトリウムと交換処理水量処理水の残留硬度貫流点貫流点の前に再生(食塩水を通す)単純軟化法では溶けている塩類の総量はほとんど変わらず、シリカもほぼ残る
単純軟化法のしくみ(左)と、処理を続けたときの残留硬度の変化(右。目盛りは入れていない)

溶存気体はどう取り除く?

溶存酸素は点食などの腐食の主な原因です。気体は水温が高いほど水に溶けにくくなるので、水を加熱して追い出すのが加熱脱気法です。圧力を下げて取り出す真空脱気法、気体だけを通す膜を使う膜脱気法もあります。

脱気で残った酸素は、脱酸素剤で化学的に取り除きます。タンニン、亜硫酸ナトリウム、ヒドラジンが代表的です。亜硫酸ナトリウムは反応すると硫酸塩になって溶解固形分が増え、ヒドラジンは窒素と水になるので固形分を増やしません。

清缶剤にはどんな種類がある?

ボイラー水に薬剤を入れて整えることを内処理といい、その薬剤を清缶剤と呼びます。pHや酸消費量を適正に保つ酸消費量付与剤(水酸化ナトリウムなど)、硬度成分を不溶性のスラッジに変える軟化剤(炭酸ナトリウム、りん酸ナトリウムなど)、溶存酸素を除く脱酸素剤(タンニン、亜硫酸ナトリウムなど)、スラッジの結晶の成長を防いで吹出しで出しやすくするスラッジ調整剤があります。

内処理だけでは硬度の高い原水には追いつかないので、外処理で大部分を除き、残りを内処理で整えます。薬剤の量は水質試験の結果を見て決め、入れすぎも濃縮の原因になります。

休止中はどう保存する?

休止中のボイラーは、内部に空気と水分が残ると腐食が進みます。保存法には満水保存法と乾燥保存法があります。

満水保存法は、ボイラー内を水で満たし、脱酸素剤などの薬剤を入れて保存水の水質を管理する方法です。休止期間がおおむね3か月以内のときに用い、保存水の薬剤の濃度を月に1回以上測って管理します。保存水が凍ると膨張して本体を壊すので、凍結のおそれがある場合には使えません。

乾燥保存法は、ボイラー水を全部抜いて内外面を清掃し、乾かしてから、シリカゲルや活性アルミナなどの吸湿剤を入れて密閉する方法です。蒸気管と給水管は閉止板などで外部と確実に遮断します。長期間休止する場合や凍結のおそれがある場合にとります。

職場ではどう使う?

軟化装置を使っている工場では、毎日の点検で軟化装置の出口の硬度を測り、残留硬度が上がり始めていないかを見ます。貫流点に近づいたら再生の時期です。再生用の食塩の補充を忘れると、硬度成分がそのままボイラーに入り、スケールの原因になります。

スケールが厚く付いたボイラーは、酸洗浄で取り除くことがあります。スケールを溶かす塩酸などの酸に腐食抑制剤(インヒビター)を加えて金属が溶けるのを抑え、洗浄中は発生する水素に備えて火気を遠ざけます。清掃のために内部へ入るときは、冷却、換気、ガード付きの移動電灯、使用中のほかのボイラーとの管連絡の遮断がボイラー則第34条で求められています。

試験ではどう問われる?

水処理は、薬剤や方法の目的を入れ替える型が中心です。脱酸素剤を硬度成分の除去用とする、軟化剤を酸素の除去用とする、単純軟化法で溶解性蒸発残留物やシリカまで減るとする、といった誤りがよく作られます。

指標では導電率の高低と塩類の量の関係の逆転、酸消費量のpH4.8とpH8.3の取り違えに注意します。保存法では、凍結のおそれや休止期間の長さと、満水保存・乾燥保存の組合せを入れ替えた選択肢が出ます。

よくある質問

スケールとスラッジの違いは?

スケールは伝熱面に固く付着した沈殿物で、伝熱を妨げて過熱の原因になります。スラッジは底にたまる軟らかい泥状の沈殿物で、吹出しで排出します。

単純軟化法でシリカは除ける?

除けません。単純軟化法はカルシウムやマグネシウムをナトリウムと交換するだけなので、シリカや溶けている塩類の総量はほとんど変わりません。

満水保存と乾燥保存はどう使い分ける?

休止期間がおおむね3か月以内なら満水保存、それより長く休むときや凍結のおそれがあるときは乾燥保存を選びます。

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